Active Directory でアドレス帳から非表示にできない原因と回避策
「オンプレミス Active Directory(AD)でユーザーをアドレス帳から非表示にしたいのに、属性エディターに [msExchHideFromAddressLists] が表示されない」
Microsoft 365(Exchange Online)と同期されたユーザー情報を管理するうえで、オンプレミス AD 側の [msExchHideFromAddressLists] 属性を正しく設定することが、グローバルアドレス帳(GAL)非表示の前提となります。
この記事では、該当属性が表示されない原因と回避策としてのスキーマ拡張やその後の対応手順について、公式リンクとともに解説します。
■ [msExchHideFromAddressLists] とは?アドレス帳非表示に必要な属性
オンプレミス AD 環境で Microsoft 365 に同期されるユーザーをアドレス帳に非表示にするには、以下の Exchange 属性を使用します。
<アドレス帳非表示に使用する属性>
- 属性名: msExchHideFromAddressLists
- 設定値の意味:
- TRUE:アドレス帳に表示されない(非表示)
- FALSE:アドレス帳に表示される(既定)
※この属性が未設定(空)の場合は、Microsoft 365 側では表示される状態が既定となります。
■ なぜ属性が存在しないのか?― スキーマ拡張が未実施の可能性
msExchHideFromAddressLists は Exchange Server の属性であり、既定の Active Directory 構成には含まれていません。
そのため、オンプレミス AD に Exchange 組織が展開されておらず、スキーマ拡張がされていない場合は、属性エディター上に該当項目が表示されない状態になります。
【回避策】Exchange スキーマの拡張を実施する
Exchange 属性を AD に追加するには、スキーマ拡張の手順に従って作業を行う必要があります。
▼ 参考情報(スキーマ拡張)
- Exchange Server の Active Directory とドメインを準備する
※「始める前に把握しておくべき情報」および「手順 1. Active Directory スキーマ拡張をする」の項目のみ実施

Exchange Server、Active Directory Exchange Server、Exchange Server Active Directory 用に Active Directory とドメインを準備する | Microsoft Learn
■ スキーマ拡張後の追加作業:Azure AD Connect でスキーマの再読み込み
スキーマ拡張後は、Azure AD Connect にてスキーマ更新を実行する必要があります。
これにより、新たに追加された Exchange 属性が Azure AD Connect の同期ルールに反映されます。
▼ 参考情報(スキーマ更新)
- Microsoft Entra Connect 同期: インストール ウィザードの 2 回目の実行
※「ディレクトリ スキーマの更新」の項目をご参照ください。

■ 属性編集の注意点:ADSI Edit やサードパーティツールは非推奨
Exchange 属性の値は、たとえば ADSI Edit やサードパーティ製のツールを使って変更することも技術的には可能です。
しかし、以下の点に警告しています:
- Exchange の受信者オブジェクトは、Exchange 管理センター(EAC)や Exchange 管理シェルで管理することを前提
- サードパーティ製ツールや ADSI Edit を使った変更は使用自体は可能
▼ 推奨される運用方法
オンプレミスのオブジェクトの属性を正しく管理するためには、最低でも 1 台のオンプレミス Exchange Server の稼働を推奨しています。
▼ 参考情報(属性編集に関する注意)

サードパーティ製の管理ツールや ADSIEDIT を使用できるかどうかという質問が多く寄せられます。 答えは、それらを使用することはできますが、サポートされていません。 Exchange 管理コンソール、Exchange 管理センター (EAC)、および Exchange 管理シェルは、Exchange 受信者とオブジェクトを管理するために使用できる唯一のサポートされているツールです。 サードパーティ製の管理ツールの使用は、自己責任で決定してください。 多くの場合、サード パーティの管理ツールは正常に動作しますが、Microsoft はこれらのツールを検証しません。
まとめ:属性が見えない場合は Exchange スキーマ拡張が必要
Microsoft 365 のアドレス帳に表示されるかどうかは、オンプレミス AD 側の msExchHideFromAddressLists 属性の状態に依存します。
● 重要ポイントまとめ
- msExchHideFromAddressLists 属性が非表示設定のキー
- 属性が見えない場合、Exchange スキーマ拡張が未実施である可能性が高い
- スキーマ拡張後は Azure AD Connect のスキーマ更新も忘れずに実施
- 属性変更は Exchange 管理ツールを使用し、ADSI Edit などは非推奨
Exchange Server を使った適切な管理を行うことで、安定したディレクトリ同期とアドレス帳の制御が可能になります。
不明点がある場合は、Microsoft の公式ガイドを確認しながら、安全な手順で構成を行いましょう。
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